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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第2章 小鹿大樹
「あらら、お待たせしちゃったようね」とママが挨拶すると、
「いやいや、うちらが早く来てしまっただけです」
「おや、お若い方ね」
「ははは、楽しみですな」
と明るい笑い声が連鎖したが、そうではない人もいた。右端に座る髪の長い女性は隣にいる50歳代の白髪の男性の手を握られたまま、シクシクと泣いていた。結婚前に行ったラブホテルの待合室で見たような光景だ。
これは単なるパジャマパーティではない。
「じゃあ、私たちも支度してきますから」とママに手を引かれ、脱衣所に入ると、「スワップパーティよ」と教えてくれたが、まさかと思って、「スワップって、あの夫婦交換?」と聞き返すと、「そうよ、驚いた?」と、ママはスカートのファスナーを下ろしながら、ニヤニヤ笑っている。
チェ、こうなりゃ、やけくそだ!開き直った有田はズボンを脱ごうとしたが、慌てて、反対側の裾を踏んでしまった。「あ、危ない…」と柱に掴まったが、「あらあら、怖気づいちゃったの?」とママにからかわれてしまった。
「ダンナの主催だから、しっかりね」
「わ、分っているよ」
とんでもないところに踏み入れてしまった。逃げ出したいが、「無理なら、ダンナから銀行に電話するけど」、この言葉が頭をよぎる。
「何事も経験よ。あの泣いてた女、気がついた?」
「うん」
「ああいう女こそ、最後には狂っちゃうのよ。何も考えず、楽しむことよ」
ママは妖しく笑いながらシャワーで股間を洗っていた。