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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第4章 ママ、お願い。お礼は体で払います
席を離れた有田はトイレに入ると、スマホを取り出した。
「あ、ママ?」
「何よ、有田ちゃん、『あ、ママ?』だなんて他人行儀ね。いやよ、そんな言い方」
「あ、いや、今、銀行なので」
「だから、何んなのよ?」
時刻は午前10時を過ぎたばかり。まだ眠っているところを起されたママの久美子は機嫌が悪く、やたらと絡んでくる。
「詳しい話は後でしますが、今夜、行ってもいいですか?」
「お店に?」
「いえ、そうじゃなくて、3階の自宅の方に…」
電話の向うで、タバコに火をつける音、そして、ふぅーと一息吹かしたような気配。
「いいわよ、それなら許してあげる」
「すみません、助かります」
「そうね…今夜、11時、いいわね?」
「はい」
「鍵はあったわね?」
「はい、あります」
「じゃあ、先に入ってて。ふふ、3日振りか…」
しょうがねえ、今夜も3回か…有田は覚悟した。
「それでは後ほど」
午後6時過ぎ、銀行を出た有田は、一旦、自宅マンションに戻り、着替え等をバッグに詰めると、白山のスナック、その3階にある久美子の部屋に向かった。