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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第5章 銀行との取引も、「男と女」も、決め手は「好き・嫌い」
「名前は?」
「へへへ、幸一朗(こういちろう)。私の『雄一(ゆういち)』の『一(いち)』、ワイフの『幸枝(さちえ)』の『幸(さち)』を『こう』と読んで、それから朗らかになって欲しいから『朗(ろう)』、全部あわせて、朗らかに一番幸せになって欲しい、そんな名前さ」
「よく考えたものね」
褒められた有田はハイボールをぐっと飲み干した。
「泊まっていくでしょう?」
「いいの?」
「当たり前よ。1週間振りなんだから」
ママはカウンターの片付けを始めていた。
「え、もう閉めちゃうの?」
「どうせ今夜は誰も来ないし、ね、あ、り、た、さん?ふふふ」
そう言われてしまえば、有田も店じまいを手伝わねばならない。スツールを並べ直すと、表の看板のライトを消した。