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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第5章 銀行との取引も、「男と女」も、決め手は「好き・嫌い」
≪セールスの決め手は?≫

「もう、嫌なんだから」
「へへへ、だって小鹿さんが教えてくれるんだから」

まずは体でお礼をした有田は、吉田社長攻略の方法を聞き出していた。

「まさかと思いますけど、久美子さんが」
「バカ!そんなことする訳ないでしょう」
「あ、いや、念のためと思って…あっ、痛っ……」

久美子は有田のお尻を抓っていた。

「吉田さんは仕事一筋であの会社を作った人よ。そういう人に、最初から色仕掛けは逆効果。『この女、騙そうとしてるな』って直ぐに警戒されるでしょう。銀行員ならそれくらいは分かるでしょう。本当にバカなんだから。榎本課長に怒られるも当然よ!」

お説ごもっとも。有田は叱られてしまった。

「吉田さんは骨董品が好きなのよ」
「へえ、そうなんだ」

有田が感心したような顔をすると、「私を誰だと思っているの?銀座の女よ」という雰囲気があったので、久美子の乳房を軽く揉んで、ご機嫌を取った。

「あん、いやん…もう、人の話を聞きなさい」
「へへへ、続きを教えて」
「バカっ!あ、そう、そうよ。吉田さんは『掛け軸』とか『刀』とか、時々、そんなことを言うのよ。それでダンナを呼んで、骨董の話をさせたのよ」
「やっぱりママだけじゃないのか…」

有田がため息をつくと、久美子は「ヤキモチ焼かずに、聞いて」と笑いながら話しを続けた。
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