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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第6章 エロ芝居?それはないぜ
「あらあら、脱いじゃったの」と、久美子は脱いだ物を衣文掛けに吊るしている。
「ああ、いい体だ。なあ、有田」と小鹿は悠然とお猪口を口に運んでいる。
嫌な予感がする…有田が身構えると、CDから流れる三味線に合わせて、全裸の雪乃が扇子を手に踊り始めた。
「いいねえ、花見踊りだ。桜満開の上野のお山で遊女も、町人も楽しく踊る様を演じるんだ」
みやこの春に志賀山の、花見小袖の縫箔も……
「ほんと、いいわね。この音と唄」
連れて着つれて、行く袖もたんだふれふれ六尺袖の……
小鹿と久美子はうっとり聞きほれているが、競技ダンス経験者の有田は、お尻と脚に張りがあると思ったけど、やっぱり、踊りで鍛えているんだ。あの手さばき、足さばき、いいなあ……と体が自然と動いていた。
「さすがね」
「え、何か?」
有田は惚けたが、久美子にはしっかり見られていた。
「やっぱり有田ちゃんはダンスをしていたから、分かるのよねえ、この柔らかさ、優雅さが」
「知りませんよ、そんなことは」
有田は先程と同じように、彼らと目を合さないようにしていたが、久美子も小鹿も「お願い!」、「やってくれるよな?」と覗き込んでくる。おまけに、雪乃にまで「私、こういう人、好きよ」と言わせ、目の前に餌を投げ込んできた。