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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第8章 縄秀と看護師
≪嫉妬も役に立つことがある≫

「おい、何だ、あの声は?」

酒に酔っても小鹿の耳は鋭い。

「何?ほほ、あれは、きっと風間さんとお楽しみですな」
「お楽しみって、まさかあれか?」

縄秀はニヤニヤしていたが、小鹿は、「あの野郎、人を待たせた上に!」と一旦立ち上がったが、「仕方ねえ」と座り直して、酒を呷っていた。

「いやあ、凄い銀行員ですな。あははは」
「しょうがねえなあ」

大笑いする縄秀につられ、小鹿も苦笑いしていたが、雪乃だけは様子が違う。

「バカじゃないの、何が有田よ…」

太腿を撫でていた縄秀の手をピシッと叩くと、自分のグラスに酒を注いでいる。

「あれっ?」
「別に」

雪乃はぷいっと横を向くと、グラスの酒をグイッと飲み干してしまった。

小鹿と縄秀は思わず顔を見合わせると、「あれか?」、「うん、嫉妬だ」、「間違いないな」と目と目で話を交わすと、ぷっと笑ってしまった。

「いくら一緒にシャワーを浴びたって…」

雪乃はぶつぶつ言いながら帯を解き始めていた。

「おいおい、雪乃ちゃん?」
「風間さんなんか抱いてどうするのよ…」

怒ってプリプリしている雪乃は襦袢も脱ぎ捨て、素っ裸になると、「有田がなにさ、さあ、縛ってよ!」と座卓の上に胡坐でご開帳、文字どおり、開き直っていた。

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