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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第9章 難攻不落の浅丘流本部
「お前!」
目を吊り上げ、殴りかかろうとする榎本課長に、「やめんか!」と珍しく支店長が声を荒げた。
「副支店長、榎本課長。あなたたちには管理者責任がある。有田君だけを責めるんじゃない。残り3ケ月、当店の目標は有田君の『浅丘流の取引獲得』だけじゃない。他の目標もまだまだ未達だ。副支店長、君が陣頭指揮を取りなさい。そして、榎本課長、君も死ぬ気で頑張るんだ」
皮肉屋の副支店長、偉そうな榎本課長も、相手が支店長とあっては何も言えない。
営業会議の後は飲みに行くのが恒例だが、支店長から睨まれた副支店長と榎本課長はそれどころではなくなった。だが、叱られ慣れてる有田はさっさと退散し、二人が気づいた時にはその姿はなかった。
「あ、有田は?」
「あの野郎、覚えていろよ!」
カップ麺を片手に、1月からの営業戦略を練り直していた副支店長と榎本課長は怒り狂っていた。