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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第9章 難攻不落の浅丘流本部
考えてみれば、「花ユリ学園」は「エロ坊主が理事長の学校」としか思っていなかったが、有名校だから、入学するのに、あんなことまでする。
改めて、「とんでもないエロ坊主だ」と思っているうちに、石段を登り切った。
境内は多くの参拝客で賑わい、出店も出ている。庫裏の前には初祈祷の申込みや、おみくじ、御札などを買い求める列が出来ている。
「結構流行っているじゃない」
昨晩、「余程、参拝客が来ないお寺なのね」と言っていた彼女も感心していた。
「ああ、そうだな…」と有田が中を窺っていると、顔見知りの事務員が手を上げていた。
「ありたさーん!明けましておめでとうございます。ご住職がお待ちですよー」
グッドタイミングだ。
「あ、いや、こちらこそ、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします!」と手を上げると、横にいる妻の顔から「怪しい!」という文字が消えかかっている。
さらに事務員は「あら、奥様?」と気がついてくれた。
「は、はい、有田の家内、幸枝です。いつも主人がお世話になりまして」と挨拶する妻を、「いいえ、こちらこそ。さあ、どうぞ、奥の方へ」と特別扱いしてくれた。
エロ坊主も使いようだ、やはり、春から縁起がいいのか……