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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第9章 難攻不落の浅丘流本部
≪持つべきものは「よい友だち」≫

「あ、どうも。あれ、皆さん、お揃いですか?」

有田が襖を開けると、座敷には住職のエロ坊主こと河口光道を囲んで、小鹿大樹、久美子、雪乃、縄秀こと金沢秀夫医師、それに看護師の風間直子が集まっていた。

「おお、有田、おめでとう!さあ、入れ、入れ」
「あ、いや、まずは、ご挨拶。明けましておめでとうございます」
「あははは、やっぱり銀行員だ。堅いなあ」

つるつる頭の河口光道はご機嫌で、顔どころか、その頭まで赤く染まっていたが、有田が赤ちゃんを抱き、傍らに女性が立っているのを見るや、直ぐに状況を察し、さっと立ち上がり、「いやいや奥様もご一緒ですか。いつもご主人にはお世話になっております。住職の河口光道です」と名刺を差し出した。

「あ、ありがとうございます。『かわぐちこうどう』さんとお読みしたら…」
「ははは、そうです。ほら、この頭の通り、『道を光らせる』という意味です、いや、失礼、あははは」
「あ、すみません…」
「さあさあ、中にお入り下さい」

他の者たちは「さすが坊主だ」と見とれていたが、すかさず風間さんが「赤ちゃん、可愛いですね」と有田から抱き受け、「私は小児科医の金沢です。彼女は看護師をしております。いつもご主人にはお世話になっております」と縄秀も続いてくれた。

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