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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第9章 難攻不落の浅丘流本部
小鹿も「私は池袋の骨董屋、彼女は白山でレストランを、そちらの彼女は踊りの名取です」と自己紹介方々、久美子と雪乃を当り障りないように紹介した。

いつもながらの彼らの即興芝居に、有田は笑うのを堪えていたが、上座に招き入れられた有田の妻はすっかり恐縮してしまい、彼らを銀行のお客さんだと信じ込んでいた。

「あ、あの、私は有田の妻の、幸枝です、有田幸枝です。よろしくお願いします」
「まあまあ、挨拶はそれくらいにして、さあ、一杯」

これで有田のウソはばれない。残りは浅丘正巳攻略だけとなった。
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