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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第10章 奇跡の逆転ホームラン!
「いつも浅丘先生の書斎に行くのよ」
「へえ、風間さんも信頼されているんだ」
「ふふふ、そんなとこね」
風間さんは至ってご機嫌。だが、玄関に女物の淡いピンクの草履が揃えてあるのを見た途端、「あら、どなたかいらしているのかしら?」と表情が曇った。
日本舞踊の総本部だから、先程の受付もそうだったが、女性も男性も着物が多い。当然、サンダルなどではなく、草履だ。しかし、そういう人たちは私邸には上がらない。
「お客さんじゃないの?」
「先客がいれば、受付でそう言うでしょう。誰かしら…」
二人が書斎に続く廊下を渡っていくと、書斎の方から「あ、いや、あ、あああ…」と切ない声が聞こえてきた。
「風間さん、あれ?」
「しー……」
二人は慌ててその場にしゃがむと、窓側のガラス戸に映っている中の様子に驚いた。裸の男と女、顔は見えないが、浅丘正巳と雪乃に間違いない。
「雪乃…」
「はあ、はあ、はあ、正巳さん…あ、ああ、いやん・・もう、もうあかん。堪忍して…」
浅丘正巳は雪乃を仰向けにすると、その太腿を抱えて腰を近づけた。
「雪乃」
「入れて、入れてちょうだい」
「ああ、入れるよ、いいか、うっ…」
「あ、いい、いいわ…あん!」
そして、浅丘正巳の腰が動き出したが、「あ、いや、あ、あ、あ、いや…」と俄かに様子がおかしくなってきた。
「名器なんですよ」
有田が耳元で囁くと、風間さんは「えっ、名器?」と聞き返してきた。
「うん。雪乃ちゃんのあれ、凄いんだよ。だから、先生はすぐに逝っちゃうよ」と教えてあげたが、「まさか…」と信じなかった。だが、ガラス戸に映る影は有田の言う通りになってきた。
「あ、いや、ご、ごめん、ごめん…」
「ダメよ、まだ、ダメよ、ダメよ…」
「あ、あ。いや、あっ!あっ!…」
その瞬間、「うそっー」と風間さんは大きな声が出してしまった。