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スパダリ課長とチート主人公な私の話。
第33章 甘くて……苦い……
課長が照れ臭そうに慌てて手を離す。

「ごめん。無意識だった」

「いえ……」

一瞬だけ訪れた甘い雰囲気に心臓がまだドキドキと速い鼓動を打つ。
ちょっとだけーー彼女役のときを思い出して幸せな気分。


「浅倉主任、昔からって稲葉課長と知り合って長いんですか?」

そんな幸せな時間は長く続かず、佐々木さんの一言で現実に戻る。

「あぁ、稲葉とは大学からの知り合いなんだよ」

「その話はまた今度な。今は仕事しろ」

私を撫でた手が浅倉主任の肩に触れる。
話をやめろーーという感じで押さえつける感じ。


二人の仲の良さは同級生だったからなのか。
課長はいつから浅倉主任が好きなんだろ。


私はもう一度、課長が苦手だと言ったビターな方を口に入れた。


さっきまで甘かったのに。
今はすごく苦くて、苦しいーー。
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