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⊥の世界
第7章 ソファー
今日も夫は遅い。
いつもの残業の上に、飲み会があるという。
今までは寂しくてたまらなくなっていたけど、⊥の世界にじっくり入れると思えるようになった。
やっぱり始めて良かった。
『こんばんは。』
住人が二人以上入室したので書き込みする。
『リビングにソファーを置いたのですが、気がつきましたか?』
「M子ちゃん、自分からその話題に触れる~?」
「皆、気付いていると思うよ?」
「てか、どう弄ればいいのかわからなくて皆スルーしていると思うよ?」
『そうなんですか?気に入らなかったですか?』
「気に入るもなにも、リビングにソファーがあったからって、実際に座れるわけじゃないんだし、使えないもの買ってどうすんのかな?って思ってたよ。」
「インテリアで使えるのは、写真立て、シャワールームくらいだよ。」
『使える家具とかあるんですね。』
「写真立ては、写真を貼ったり、シャワールームはアバターで入ったり、つまりはM子ちゃんには必要ないものだけどね。」
「だからって、ソファーはないよね。ポイント貯めて部屋数増やさなきゃでしょう。」
「皆、M子のことわかってないな。
M子は部屋数を増やすとかポイント稼ぎに繋がることに使わないでさ。
使えばしないけど、皆が集まるこのリビングにソファーを置いて、皆をもてなそうとした訳だよ。
だけどな、M子、茶色いソファーに文字がかかると、ちょっと読みづらいな。
ちなみに壁紙もインテリアとしては有効だよ?
ライトグリーンとか目に優しい壁紙にしてくれると助かるよ。
ソファーもポイント貯まったらカラー変更出来るからさ、明るめのモスグリーンにするとか?」
年長風のSさんが私の想いを理解してくれていたことが嬉しい。
『ありがとうございます、次にポイント貯まったら、そうしますね。』
「おいおい、M子ちゃん、Sさんが言うようにソファーは【おもてなし】だったのかよ。」
『ええ、そこまで大層なおもてなしではないですけど、せっかく皆さんが集まる場所が殺風景なのは寂しかったから。』
「そうだよな、Mちゃんはお喋り苦手なくせに寂しがりやさんだからね。」
「あ~、何々?やっと入れたけど、今日は盛り上がってる感じ?」
『あっ、Aさんお疲れ様です。』
「とりあえず、この↑ソファーの話で盛り上がってたとこ~。Aさん珍しく残業?」