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⊥の世界
第8章 夫
ああ、また、あの日の夢を見た。
何で記憶より鮮明に再現されるんだろう。
あ、寝坊した。
私は夢を振り払ってキッチンにいく。
「ほら、やっぱり起こして寝不足だったんだよ。朝ごはんは間に合わないから要らないよ。自分の分だけ用意して、僕はもう行くから。」
夫は自分で入れた珈琲を飲むと洗面所に向かう。
ああ、また避けられてしまった。寝坊するなんて最低。
「じゃあいってくるよ。」
「いってらっしゃい。」
キッチンを覗くだけの夫と挨拶をする。
玄関での見送りをやめようと言われたのはいつだっけ。
ガチャリ……
そんなことを思っている間に、夫は1人で出掛け、鍵を外から掛けて出勤した。