この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
⊥の世界
第9章 食事
【M子、ちょっと部屋で話さないか?】
個チャでSさんからメッセージが入り、Sさんがリビングから退室して、自分の部屋に入る。
私はリビングから退室してSさんの部屋をタップすればいいのだが、、、
各人の部屋で個別の会話はしないというルールにした。それを一番守りそうなSさんの申し出。
どうせリビングに二人しかいないのに、部屋に呼ぶとは、皆に聞かれたくない話なのだろうか。
自分の中で一番信頼しているSさんの申し出に、マウスを持つ手が迷いながら動いた。
「ああ、来てくれたね、M子。
ありがとう。」
『話って何ですか?』
「Eさん、あんまり入らないだろ?抜けちゃうんじゃないかって。」
『そうなんですか。何でわかるんですか?』
「入室ボタンを押さなくても会話は見れる。そうすれば滞在料金は発生しない。
面白そうな会話の時だけ入ってるんじゃないかってね。」
『面白い会話って、エッチな話とかですか?』
「うん、大勢が望むものはそうだろうね。だけど、それにM子が合わせる必要はないと思う。
会話相手が欲しいだけなんだろ?」
『はい。』
「これからさ、リビングでもM子の嫌な話題を強要されるかもしれない、また、どんどん引っ越していくかもしれない。
そうなって落ち込むんじゃないかと心配になってね、でも気にすることはない、理解している人だけで続けていけばいいんだってことを話しておきたかったんだ。」
『ありがとうございます。』
「じゃあ、仕事戻るから。」
本当にそれだけでSさんは退室する。
良かった。変な話じゃなくて、、、
そう思うとともにSさんの株が上がったのだ。