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レディー・マスケティアーズ
第4章 銃士隊集合 ――さらに一か月後
「だけど……」
 顔をそむけようとする女にかまわず、男は蛇のような舌を女の耳たぶに這わせた。
 集音マイクの精度がいいのか、首を振りながら「あっ、ダメ」と漏らす女の吐息まで聞こえてくる。男の舌は、耳たぶから首筋に、首筋から脇の下へとじわじわと降りていく。
「嫌です、ダメです」と繰り返しながら、時折、女は電気に触れたように体をビクッと揺らす。
 蛇のような舌は、さらに女体の中心へと進んだ。男の両手も、それに合わせて女の肩から腹、腹から腰へと這いずり回る。
「何も怖がることはないじゃないか。罪を犯しているわけでもない。おれたちは出会った時から、こうなる運命だったんだ。初めて君を見た時から、胸にビビッと電気が走った。君もそうだろう」
「何が運命だよ。青臭いやつらだなあ。やるなら早くやっちまえよ!」
 スクリーンの斜め前にいたショートヘアの女がヤジを飛ばした。
 ずらしたサングラスから切れ長の目が覗く。小顔で、黒のレオタードをまとった肢体は少年を思わせるほどにスリムだったが、チータのようにくびれた腰回りのせいで、胸も尻も立派に突き出て見えた。
「お黙り! アラミス!」
 隣に座っていた少し年長の女が、さっきのショートヘアに中指を立てる。
 長めの髪をポニーテールにまとめた彼女は、アラミスとは比べようのない豊満な肉体の持ち主で、レオタードと網タイツからなまめかしい体の線が浮かび上がっていた。
「まあまあ。それくらいにしておけ」
 松永の言葉に、女二人は渋々引き下がった。
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