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レディー・マスケティアーズ
第4章 銃士隊集合 ――さらに一か月後
*
マンションの一室のようだ。
天井に仕掛けられたカメラが、ベッドに寝そべる男女を捉える。見たところ、どちらも二十代の前半だろうか。女のほうは十代に見えなくもない。男はシャワーを浴びた後なのか、バスタオルを腰に巻いただけだ。鼻につくほどしまった腹回りをしている。
「この野郎、ジムと日焼けサロンに相当投資しているわね」
フロアの誰かが舌打ちした。
一方の女は、ベッドの上に横たわり、シーツで体を隠している。少し鼻が上を向いた小柄な女だ。男とは正反対に、カメラに映された首から肩の辺りを見ると、抜けるような白い肌をしていた。
「ダメです。浩一さん、やっぱりダメ! わたし、どうしたらいいんですか」
女が甘ったれた声を漏らして、シーツで必死に胸を隠す。浩一というのは、男のことか。
「あの日。わたし、どうにかしていたんだわ。自分のミスでもないのに、バイト先で上司に怒鳴られて。おまけに『償いをしろ』って、嫌らしいことをされて……。だから、ショックで、おかしくなっていたんです。それで、あの日浩一さんと……。でも、ダメ。こんなことを繰り返すなんて」
「人生には、いろんなことがあるんだって。おれもこの歳まで、悲しいことや辛いことをいくつも経験してきたんだ。綾香と同じさ。だから、おれたちは傷をなめ合おうとした。違うかい?」
男はベッドに腰を下ろし、女の耳元で囁く。