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レディー・マスケティアーズ
第7章 アラミス ――カフェ・アレクサンドル
わかっているって、叔父貴。
浩一は、チッと舌打ちした。おれもガキじゃないぜ。そんなことを見落とすわけがないだろう。まして女を。
一人は、おれのいる特命企画部に入ってきた三十過ぎの色っぽい人妻で、名前は確か、山岸沙也子といった。ホルスタイン並みのデカパイと、つい手を伸ばしたくなるいいケツをした女。
もう一人は経理部に入った年増女。地味な服を着て、縁なしの眼鏡をかけた、四十過ぎの痩せた女だった。
山岸沙也子のほうは、いずれペットにするつもりだが、もう一人の年増女にはハナから興味がない。
「ふん。若いおまえにはわからんだろうが、あっちもなかなかいい女だぞ。しかし、あの事件の後、それまでめったに会社に顔を出さなかった塚越のバアさんが現れて、女二人の就職の口利きをした。こっちが断れないことを承知の上でな」
「偶然だろう? 叔父貴、いつからそんな心配性になったんだ? 歳のせいじゃないか」
「うるさい! それより、死んだあの女のこと、本当に誰かの口から漏れる心配はないんだろうな?」
「大丈夫だって言っているだろう! それよりも、経理の二重帳簿のことを気にしたほうがいいんじゃないか?」
「黙っていろ!」
茂が額に青筋を立てて、ウィスキーの入ったロックグラスをテーブルに叩き付ける。ガシャンという音に、周囲の何人かがこちらを振り返った。
「あのう、木庭様。お話し中ですが……」
揉み手で近寄ってきたのは、さっき二人をテーブルに案内したこの店のオーナーだった。
浩一は、チッと舌打ちした。おれもガキじゃないぜ。そんなことを見落とすわけがないだろう。まして女を。
一人は、おれのいる特命企画部に入ってきた三十過ぎの色っぽい人妻で、名前は確か、山岸沙也子といった。ホルスタイン並みのデカパイと、つい手を伸ばしたくなるいいケツをした女。
もう一人は経理部に入った年増女。地味な服を着て、縁なしの眼鏡をかけた、四十過ぎの痩せた女だった。
山岸沙也子のほうは、いずれペットにするつもりだが、もう一人の年増女にはハナから興味がない。
「ふん。若いおまえにはわからんだろうが、あっちもなかなかいい女だぞ。しかし、あの事件の後、それまでめったに会社に顔を出さなかった塚越のバアさんが現れて、女二人の就職の口利きをした。こっちが断れないことを承知の上でな」
「偶然だろう? 叔父貴、いつからそんな心配性になったんだ? 歳のせいじゃないか」
「うるさい! それより、死んだあの女のこと、本当に誰かの口から漏れる心配はないんだろうな?」
「大丈夫だって言っているだろう! それよりも、経理の二重帳簿のことを気にしたほうがいいんじゃないか?」
「黙っていろ!」
茂が額に青筋を立てて、ウィスキーの入ったロックグラスをテーブルに叩き付ける。ガシャンという音に、周囲の何人かがこちらを振り返った。
「あのう、木庭様。お話し中ですが……」
揉み手で近寄ってきたのは、さっき二人をテーブルに案内したこの店のオーナーだった。