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レディー・マスケティアーズ
第7章 アラミス ――カフェ・アレクサンドル
女ディーラーは、切ったカードを表向きにして、テーブルの上に綺麗な楕円形を作った。
いちばん左手がスペードのエース、いちばん右手がクラブのキング。きれいに並べられたカードをすぐさま片手で集め、今度は裏向きにして同じ楕円形を作る。
「一枚ずつ引いてください」
まず茂が、次に浩一が、それぞれ勝手な場所からカードを抜き取った。
「カードは?」
「ハートのエース」
二人の男が声を揃えて言った。
「何だと?」
さっき表を向けていた時は、一揃いの、みんな違うカードだったのに……。なぜだ? 何をしたんだ?
呆気にとられる男たちに小さく笑い返して、菜緒美は全部のカードを表向きにした。
どれもハートのエースだった。
「どっ、どうして?」
男たちの間の抜けた問いには答えず、菜緒美は片目をつぶって見せた。
「ジス・イズ・マジック! これも、わたしの特技の一つ。たくさんある特技の一つですわ」
「一つよ」という意味か、菜緒美が唇の前に指を一本立てる。
なるほど。近くで見ると、妙な色っぽさがある。紅いルージュを引いた唇もいい形をしているし、意思の強そうな切れ長の目も、男の征服欲をそそる。
何よりカードをさばく細い指先。あれであそこを握られたら、たまらんだろうな。
これは、なかなかのタマだぞ。歴代最高得点は、あながち嘘に思えなくなった。
いちばん左手がスペードのエース、いちばん右手がクラブのキング。きれいに並べられたカードをすぐさま片手で集め、今度は裏向きにして同じ楕円形を作る。
「一枚ずつ引いてください」
まず茂が、次に浩一が、それぞれ勝手な場所からカードを抜き取った。
「カードは?」
「ハートのエース」
二人の男が声を揃えて言った。
「何だと?」
さっき表を向けていた時は、一揃いの、みんな違うカードだったのに……。なぜだ? 何をしたんだ?
呆気にとられる男たちに小さく笑い返して、菜緒美は全部のカードを表向きにした。
どれもハートのエースだった。
「どっ、どうして?」
男たちの間の抜けた問いには答えず、菜緒美は片目をつぶって見せた。
「ジス・イズ・マジック! これも、わたしの特技の一つ。たくさんある特技の一つですわ」
「一つよ」という意味か、菜緒美が唇の前に指を一本立てる。
なるほど。近くで見ると、妙な色っぽさがある。紅いルージュを引いた唇もいい形をしているし、意思の強そうな切れ長の目も、男の征服欲をそそる。
何よりカードをさばく細い指先。あれであそこを握られたら、たまらんだろうな。
これは、なかなかのタマだぞ。歴代最高得点は、あながち嘘に思えなくなった。