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背徳 嫁と舅の淫望
第3章 異常な性の営み
 いわば芳雄はディルドの役割しか果せなくなったのだ。

 しかし、それは射精を求めるいわば生きたディルドだった。

 勃起するだけで自分では腰を動かすことも出来ない芳雄に彩香は刺激を与え、射精にまで導かなければならなかった。

 それは、ALSのもたらした異常な性交、奇妙な夫婦の営みだった。

 そんなとき義母が病で倒れ、介護や家事に追われる中で、彩香は夫の性欲の処理はしたが、交接は絶った。

 芳雄の病状はさらに進行していった。
 視力はまだ残っていたが、眼球を動かす筋肉も首の筋力も完全に失われ、手助けなしに、視点を移動することも出来なくなった。
 それはほぼ、視力を失ったも同然である。
 味覚は残っていたが、咀嚼機能は失われていたし、誤飲を防ぐため食物はすべて管で直接胃に流し込まれていた。
 だから、味覚を楽しむことは出来ないのだ。
 五感の感覚が残っていることの方がかえって無慈悲な、手足をもいで丸太にした体に動けと命じるような、それはむごい病気であった。

 ただ一つ聴覚だけが芳雄にとって自由にできる感覚だったのかもしれない。
 芳雄の聴覚はその頃まだ完全に残っていた。
 隣室で彩香がオナニーに耽った後、芳雄は必ず勃起した。
 思わず漏れるオルガズムの興奮を彩香は必死で堪えたが、芳雄にはそれが伝わっていた。
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