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もうLOVEっ!ハニー!
第6章 思惑先回り
「早くしろよ。岳斗先輩から聞いてんだよこっちは。どうせ一つしかねえだろ」
「その前に」
私は部屋の隅にある鞄のもとに向かった。
しゃがんでその中から小さなハンカチを取り出す。
少し表面を払って、つばるに差し出した。
「お返しします」
「これ……」
つばるは面食らったような顔をした。
ありえないことですけど、かわいく見えるほど。
「あの時貸してくれたじゃないですか。もしこの寮にこなかったら捨ててましたけど」
その時のつばるの顔をどう表現したらいいんでしょう。
強張っていた頬の芯が抜けてしまったように緩み、しかし眉は頑なに歪み、穏やかな目をして。
そう。
照れた。
それが一番近いんでしょう。
でも、ありえないので。
それがありえるはずないので、私はついつばるを凝視して固まってしまった。
その視線に気づいてつばるが急いでハンカチを奪い取り後ろを向く。
まるで今の顔を隠すかのように。
「……あの」
「大丈夫だったか」
「え?」
そこでいつもの表情に戻ったつばるがこちらを見た。
「柚のやつが投げただろ。あれ、大丈夫だったか?……なわけねえな。っくそ、ナニ訊いてんだ俺は」
「本当ですよ。ナニ訊いちゃってんですか」
「うるせえよ」
そっちがですよ。
なんですか。
なんなんですか。
今更ナニ心配なんかしちゃってんですか。
違うじゃないですか。
私のことはカスとしか思ってないんでしょう。
それを貫いてくださいよ。
ナニ……ナニ女扱いしてるんですか。
「馬鹿じゃないですか」
「あ!?」
つい最後の心の声が漏れてしまった。
「馬鹿じゃないですか、貴方。ここであんなことしておいてよくそんなこと吐けますね。良かったのは成績だけですか。頭おかしいんじゃないですか」
「なんだ、いきなり」
つばるはイライラするわけでもなく、初めて見る強気のかんなという女に怯んでいるようだった。
私は一歩詰め寄った。
初めてです。
自分から近づくなんて。
「大体こんな夜中にわざわざ命令されにくるなんて間抜けじゃないですか。いくら岳斗さんでも当日中になんて規制はしなかったですよ。それともあれですか。私に考える暇もくれないつもりですか」
「違えよ。もう決まりきってんだろうが命令なんて」
「その前に」
私は部屋の隅にある鞄のもとに向かった。
しゃがんでその中から小さなハンカチを取り出す。
少し表面を払って、つばるに差し出した。
「お返しします」
「これ……」
つばるは面食らったような顔をした。
ありえないことですけど、かわいく見えるほど。
「あの時貸してくれたじゃないですか。もしこの寮にこなかったら捨ててましたけど」
その時のつばるの顔をどう表現したらいいんでしょう。
強張っていた頬の芯が抜けてしまったように緩み、しかし眉は頑なに歪み、穏やかな目をして。
そう。
照れた。
それが一番近いんでしょう。
でも、ありえないので。
それがありえるはずないので、私はついつばるを凝視して固まってしまった。
その視線に気づいてつばるが急いでハンカチを奪い取り後ろを向く。
まるで今の顔を隠すかのように。
「……あの」
「大丈夫だったか」
「え?」
そこでいつもの表情に戻ったつばるがこちらを見た。
「柚のやつが投げただろ。あれ、大丈夫だったか?……なわけねえな。っくそ、ナニ訊いてんだ俺は」
「本当ですよ。ナニ訊いちゃってんですか」
「うるせえよ」
そっちがですよ。
なんですか。
なんなんですか。
今更ナニ心配なんかしちゃってんですか。
違うじゃないですか。
私のことはカスとしか思ってないんでしょう。
それを貫いてくださいよ。
ナニ……ナニ女扱いしてるんですか。
「馬鹿じゃないですか」
「あ!?」
つい最後の心の声が漏れてしまった。
「馬鹿じゃないですか、貴方。ここであんなことしておいてよくそんなこと吐けますね。良かったのは成績だけですか。頭おかしいんじゃないですか」
「なんだ、いきなり」
つばるはイライラするわけでもなく、初めて見る強気のかんなという女に怯んでいるようだった。
私は一歩詰め寄った。
初めてです。
自分から近づくなんて。
「大体こんな夜中にわざわざ命令されにくるなんて間抜けじゃないですか。いくら岳斗さんでも当日中になんて規制はしなかったですよ。それともあれですか。私に考える暇もくれないつもりですか」
「違えよ。もう決まりきってんだろうが命令なんて」