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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し
 意地悪っていうんです。
 こういうの。
 でも、復讐って名前にしたら、間違ってない気もするんです。
 だから少し強気だったのかもしれません。
 自分には言う権利があるって。
「小学生で? 姉の彼氏にレイプされたのが初体験なんて誰にも言えるわけないじゃねーですか。いじめられていたお陰で誰にも暴露する暇する暇もありませんでしたけど」
 力強く腕を掴んだ手に振り向かされる。
「悪かったって言っただろ!?」
 真剣な瞳が苦しそうに。
 私は失言してしまったと気づいた。
 どんなに傷つけても構わないと。
 そう思っていたのに。
「滑稽な話だろうがな……あの時、めいはおかしくなってた。俺といるときもいないときも自殺をちらつかせて束縛しようと……俺は自分のことで手一杯だったってのに。だから、君が……君が唯一の救いだったんだ」
「……なに、言ってるんですか」
「俺は、あの時本気で君が好きだった。今も変わらない、それは。ガクに告白されたのは知ってる。俺が今さら何を云っても無意味なのもわかってる。でも、俺を虫けらみたいに見るのはやめろ」
 ぎり。
 捕まれた腕が鈍く捻られる。
 痛みに眉を歪めると、清龍は一瞬嬉しそうに頬を緩ませ、それから自制するように手を離した。
「……ガクに返事する前に、ちゃんと考えてくれ」

 ぼふん、と。
 このベッドだけが味方です。
 シーツに太股を擦り付けて悶える。
 んああーっと。
「どうすればいいってんです!」
 どいつもこいつも好き勝手。
 私の気なんか考えもしないで。
ー返事はいつでも構わんよー
 ふわっと再現されたシーンを振り回した枕で吹き飛ばす。
 告白。
 付き合う。
 想像もしたことない。
 姉の恋愛に羨望を抱いたこともない。
 恋人というもの自体に憧れがないのかもしれない。
 ゆえに、実態がわからない。
 後輩として可愛がってくれている今と、恋人を受け入れた未来とでは何が違うんでしょうか。
「わからにゃい……」
 枕を抱えてゴロゴロ転がる。
 付き合う。
 カップル。
 そこに新たに生まれる関係性。
 なぜ、岳斗さんはそれを望んだんでしょう。
 私相手に。
 涸れかけた部屋の隅の百合を見る。
 香りはもう発さない。
 変わる。
 花も、人も。
 頭にあるのは、明日の朝食。
 どんな顔したら良いのでしょう。
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