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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し

 コトン、とアッサムティーに砂糖を混ぜ溶かしたティースプーンを置いて蘭が微笑む。
 今から貴女を問い詰めますよ、という笑顔で。
「さて、かんな。どうしたの」
「あ、はい。えと、ちょっと、蘭先輩の演奏が聴きたくて」
「嘘と建前はなしにしましょ」
「はい……見られたくないものを確認したくて来てしまいました」
 一蹴され、他の言い訳も用意しない頭を恨む。
 恐る恐る取り出した携帯端末に三人の視線が集まった。
「なぁに? ビデオ?」
「かんちゃんが見られたくないものをっての、なんか頭突っ込みたくなっちゃうね」
 覗き込んできた美弥の髪が腕にかかる。
 サラサラ。
 亜麻色の、ふわりと優しいローズの香り。
 長い睫毛がピクリと。
 それから大きな瞳が私を捕らえました。
「かんな?」
「ぅあっ、はい! すみません、ボーッとしちゃって。これ、秘密のビデオなんです」
 蘭の目尻が愉しそうに持ち上がったのは見て見ぬふりで、携帯を見易い位置に掲げる。
 暗い箱の中。
 光を飛び込ませる三つの細長い穴。
 初めに気づいたのは茜だった。
「これ、靴箱?」
「にゃ。本当だ」
「かんなのね?」
「そうなんです」
「何故ビデオ?」
「悪戯されてて」
「は!? 誰?」
「美弥おちつけ」
「いじめかしら」
 蘭の真っ直ぐな指摘に空気が凍り付く。
 隣からぶわっと殺気を感じた。
 肩に乗せられた手が震える。
 美弥さんの、細い指が怒りで引きちぎれてしまいそう。
「……何されたの」
「いえ、大したことじゃないんですが」
 ガンッ。
 ティースプーンが乱暴にテーブルを跳ねた。
 投げた張本人が口許だけで笑う。
「嘘と建前はなしにしましょう?」
 先刻よりもゆったりとした口調が迫力を増す。
 ああ。
 どうしたらいいんでしょう。
 大事になんかしたくないんです。
 でも……
 エスカレートしていくのは何より避けたい。
 なら、良いんでしょうか。
 助けを求めても。
 隆人さんが手を差しのべたように。
 助けを期待しても。
ー利用すれば?ー
 脳内に奈己の声が響く。
ー好きなだけ、さ。王女様ー
 違う。
 先輩はそんなこと言ってない。
 捏造が渦巻く。
 だって、つばるが苦しそうな顔で言うから。
ーわかんねえ。お前一体何がしたいんだよ。女王女王言われて正にそうなっちまったのか?ー
 言うから……
 
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