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もうLOVEっ!ハニー!
第10章 甘い笑顔と花束
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そこは二年の教室。
「らっふー! ルカちゃあん、今日も可愛い」
朝から響いた快活な声に予習をしていた亜季と奈己が目を上げた。
そしてすぐに目を逸らした。
亜季は少し赤面して。
「アンナちゃんにも嫉妬?」
「うるはいよ」
シャーペンをくわえながら、ムッとして。
そういう仕草無自覚でやってんのかな、一瞬奈己の顔に鋭い感情が走ったが気づいた人はいない。
湿ったシャーペンを奪って答えを書きながら、ルカの横顔を見た。
「アンナ、あまり騒がないでください」
ぎゅっと後ろから細い腕で抱き締められても、読書の手を止めない。
そんな彼女に紅い唇を持ち上げて、アンナは髪に顔を埋めた。
「……良い香り」
「どうしたんですか」
溜め息を吐いて、首回りの腕を擦る。
「あのね、あのね……今月のね、順位……アリスに負けちゃったあ」
泣き声に脱力する。
そう。
御巫アンナは、細峰ルカと同じ雑誌レンレンの専属モデルなのだ。
妹のアリスも去年から読者モデルとして契約したが、御巫姉妹は特集が組まれるほど人気が出てきている。
そして、ルカも感じていたが、その人気は妹の方に軍配が上がりつつあるのだ。
「気にしないのが一番です。私はアンナのスタイルの方が素敵で好きですよ」
「ルカちゃあんっ!」
熱烈なキスをうなじに浴びせる。
クラス中が「またか」という視線でその光景を包んでいた。
黒髪おかっぱのアンナは、ボブのルカとシルエットが似ていて、二人で居る場面が多い。
特にアリスが入学してきてから増えたようだ。
それでもルカは亜季や奈己相手と違って敬語を崩さないのだが。
「そんなことより、ちゃんと妹に規制してるんですよね?」
「んー。したいのはやまやまなんだよ?」
「アンナ……貴女何のために姉妹揃ってここに来たか私に話したばかりじゃないですか」
ついに本を置いて、向かい合う。
親に叱られる前の子どもみたいにアンナは肩をすくめた。
私は悪くないわ、と。
「だって、美弥ちゃんがいるのに妹だけ我慢するなんて可愛そうでしょ」
「っ……美弥は心の性別が違うから仕方ないの。貴方の妹は」
するりと制服の襟から入ってきた手に言葉を遮られてしまう。
「あ、アンナ……」
「ルカちゃんのポーカーフェイス奪いまーす。ここ弱いんだよね」
ぐにぐにと肩甲骨を中指で押し、小指でうなじを擽る。
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