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もうLOVEっ!ハニー!
第10章 甘い笑顔と花束
半紙を一枚敷いてなんとかしましたが。
これからどうエスカレートさせてくる気でしょうね。
無視し続けるのは良いんですが。
あ、そうだ。
蘭さんたちに弁解しなくては。
御巫アリスではなかったと。
隆人さんにもですね。
村山薫と知ったら、どうなるんでしょう。
シャーペンの芯を替えつつ考える。
今までは、いじめと言うものへの対抗なんて思い付きもしませんでした。
味方などいなかったので。
でも、ここは違う。
孤独じゃない。
ー利用するの?ー
また、奈己さんの声。
そうじゃない。
私は王女じゃありません。
人を頼っても、いいじゃないですか。
窓から見える曇り空に隠れた神様に訴える。
良いですよね?
「うふふふ、そんなことがあったの」
「笑い事かなっ!? 蘭」
「かんちゃん危機一髪だねー」
御姉様方が好き勝手笑う中で、紅茶を頂く。
「やっぱ血だよね。あの姉妹」
「ルカの次はかんなとは……面白いわ」
「かんな! ぜーったいキスさせちゃだめだよ」
舐められたなんて言えません。
本題よりも盛り上がってしまっているので、なんとか話題を切り替えなければ。
「それでですね、監視カメラの映像を確かめたら犯人はアリスじゃなかったんです」
「誰? 腹黒薫?」
紅茶を噴き出しそうになりました。
口に手を当てて頷く。
「なあんだ。あの子なのね。苛め甲斐ありそうな」
「あー、ビッチちゃん」
「先輩方……」
こうも言われてしまうと気が引けます。
蘭は人形の髪を櫛で整えながら、呟いた。
「かんなに手を出すなんて相当な馬鹿ね」
「どゆこと?」
「わからないの? 茜。今の寮を思い返して」
今の寮?
奈己さんの言葉を思い出す。
何人が私を……
いえいえ。
あれは奈己さんの意見です。
「まあ、ガクとこばりんだけでも有力だし」
「かんなにはボクがいれば充分じゃないかなっ」
「その雌豚が唇奪われてトロトロしてる間にかんな連れ去られたんでしょ」
「うー」
珍しく言い返せない美弥がクッキーにがっつく。
今日はココアとキャラメル味。
いつも蘭さんが用意してるんでしょうか。
「先輩方の代では、こうした問題は起こっていませんでしたか?」
「かんなってたまに凄い質問するよね。んにー、なかったんじゃないかな」
まずい質問だったでしょうか。
「感覚は固有だもの」