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もうLOVEっ!ハニー!
第12章 騎士は王子と紙一重

 目の前で驚いた顔をしたルカさんに、私はただお辞儀をしました。
「どうして、貴方まで」
 その質問も予想していました。
「つばるが、部屋に来たんです。ここにアンナさんが来てるって」
 それは二分前の話。
 奈巳がルカと共に上がってきたと思い、素通りしようとしたつばるは、奈巳が彼女を「アンナ」と呼んでいたのに気付いたという。
 それからすぐに私のもとに。
 アンナが行く部屋といえば、ルカの元しかない。
 行け、と言ったつばるに返事をしかねていると、俺が行くと勝手に向かってしまった。
 こうしてここに立っているわけですが。
 迷惑極まりない訪問者であるという自覚を共に、廊下にいてはルカさんが困るということで部屋に入りました。
 そして、ベッドの方からアンナが姿を見せた。
「初めまして?」
「夜更けにすみません……その、私」
「妹がお世話になってるわ」
 優雅にほほ笑むその顔は、髪型は違えどアリスにそっくりだった。
 今思うことではないかもしれませんが、隣のつばるとこばる先輩は意外とあまり似てないんだなと。
 ふわりとバラの香りが鼻をくすぐる。
 ルカはいつも良い匂いを身に着けている。
 それはこの部屋からかもしれない。
 生花ではなく、香料の類だろう。
 おしゃれな雑貨屋のような、上品な空気。
「お世話というか……そうですね。仲良くさせてもらってます」
「迷惑してます」
「つばるっ」
 被せがちに言い放ったつばるを三人が見つめる。
 沈黙に陥るかと思った矢先、アンナが吹き出した。
「ええ。そうよね。そう。迷惑をかけてるはずよ。でもナイトがいるようで少し安心ね」
 ナイト。
 夜と騎士。
 どちらかというと夜の方ですかね。
 闇ですね。
 頭の中でごちゃごちゃ呟きつつ、ルカを伺う。
「アンナ。何を話しに来たのかこの二人にも伝えるべきじゃないですか」
「わかってる。早寝したいからって焦らないで、ルカ」
「そういうんじゃないです」
 二人の仲は深く、長いのだろう。
 そう思わされるような腹を割ったやりとり。
 モデルという仕事を共にしている連帯感もあるのだろう。
「その前に、あんたの妹ってあれ? かんなを孤独にして手に入れようとかそういうタイプですか」
 この人同い年や家族以外にも歯に衣を着せませんね。
 
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