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もうLOVEっ!ハニー!
第12章 騎士は王子と紙一重
そんなの……起こるわけない。
「起こるわけねーだろ」
ぽん、と肩に手を乗せられる。
黙ってる時間五分もなかったですけど。
「なんですか。貴方だけは変わらないとでもおっしゃるつもりですか」
「っはは。笑わせないで下さいよ……もう」
いきなり笑ったルカにつばると同時にびくりとしてしまう。
声上げて笑うところなんて初めてかもしれない。
アリスはそんなルカに幸せそうに頬を緩ませている。
「松ちゃんて面白い子だったんですね」
どう思われていたのかも気になるのですが。
「少し安心したんじゃないですか、アンナ」
「そうね。ルカばりの図太い神経を持っているんじゃないかしら」
「あら?」
「ん?」
「あの……それってどういう」
二人だけの世界に入ってしまいそうで、つい引き止める言葉を探してしまう。
その時、徐につばるが玄関に向かった。
「帰るぞ」
「ええっ」
何しに来たんですか結局。
急いで二人の先輩にお辞儀をする。
「深夜に申し訳ありませんでした。お邪魔しました!」
「いいですよ。ちゃんとお話出来てよかったです」
少し疲れたように手を振り、ルカは扉を閉めた。
「ちょっ、アンナ」
閉まる瞬間、ルカさんの首に抱きついてキスを振らせたアンナ先輩のことは見なかったことにしましょう。
廊下で待っていたつばるが空腹だということで、食堂に向かう。
時刻は二十三時。
汐里さんが仕込みをしていれば、何かもらえるかもしれないとこばるから聞いたとのこと。
厨房に明かりが点いていたので、つばるが奥に入る。
デザート余ってたら嬉しいんですが。
「おおっ、つばるか。お腹空いたのか」
快活な声は、すぐに本人のそれとわかる。
「おっと。お嬢さんも来ていたんだね。バニラジェラートがあるから、食べるかい」
「お願いします」
控えめに頭を下げて、カウンターに座る。
すぐに右隣につばるが席着いた。
今更ですが、つばると二人で食事なんて初めてかもしれない。
この状況を深く考えないようにする。
「前話した柚と舞花のことなんだけど」
「何かわかったんですかっ」
ガタリと音を立ててしまい、首筋に痛みが走る。
「動揺しすぎじゃね」
「はい……連絡が付いたんですか」
「いや。勝見の方から同窓会しないかって」
「同窓会?」
七月の土日に、温泉旅行。
馬鹿じゃないですか。