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もうLOVEっ!ハニー!
第15章 何も叶えぬ流星群

 二時間ほど経過して御手洗に立つと、学習室の止まった時から抜け出して解放感に満たされる。
 あの空間は勉学のために時空が歪んでいるのでしょう。
 バキバキ鳴りそうな腰を回して女子トイレに入る。
 古い香りに施設の歴史を感じつつ、足早に済ませた。
 マグネットボードを見ると、少し人数が減っているように見えた。
 お昼時ですもんね。
 席に戻ると、最後の一問がちょうど終わったようで岳斗が顔を上げた。
 やり遂げたキラキラした眼に笑いがこぼれる。
「午前二科目終了、ランチ行こ」
「はい、お疲れ様です」

 荷物をまとめて図書館のカフェに向かう。
 ランチ時だが満席ではないようで、窓際のカウンターの二席を確保すると、レジに並んだ。
 ピラフか、ペペロンチーノか、ピザトーストか、サンドイッチか、それとコーヒーのセット。
「めっちゃ迷とる」
「迷いますよ…… 」
 さっきの二科目というセリフから、午後は三科目取り組むであろう予測。
 スタミナが必要です。
「勉強てカロリー使うんですよね」
「そう。そそ。ほんまそう。俺二人前頼もかな」
 順番が来ると、宣言通りピラフとピザトーストを頼んで、また笑いがこぼれた。
 なんだろう。
 おかしなこと、些細なことでも笑いが溢れる。
 きっとそれを生み出せる空気の持ち主。
 そばにいて心地いい。
 美弥先輩と似てるとこもあります。
 周りを呆れさせつつ、それを上回る楽しさで場を盛り上げてくれる。
 ムードメーカーってやつですね。
 私には無い要素。
 だから惹かれるのかも知れません。
「それで足りるん?」
 サンドイッチを食べてると、ピラフを二分で食べ終えた岳斗に心配された。
「足りますよ。赤本に比べたら計算ドリルなんて消費カロリー低いんですよ」
 カフェの中は程よく人の話し声で満たされてる。
「かんなは宿題前半に終わらす方?」
「まさか。先輩が図書館に誘ったから手をつけてるだけで最後の一週間派ですよ」
「なんや、その派閥」
「先輩は前半なんですね」
「ええことはあとに取っときたい派」
「じゃあ私とデートは先に済ませるんですね」
「はははっ、言うやん」
 失礼だったでしょうに。
 面倒くさいでしょうに。
 目を線にして快活に笑う横顔に心がほんわりする。
「早くイエスを聞いてー、後半は恋人同士で過ごせたらええなーって」
 あ、ウインク。
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