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もうLOVEっ!ハニー!
第15章 何も叶えぬ流星群
司は春から様子がおかしい清龍に、いつその理由を聞くべきか機会をうかがっていた。
夏休みに入る一か月前、昼休みに図書室に行く提案に乗り、いつの間にかそれが毎日の習慣になった。
勉強は嫌いじゃない。
学年では三分の一程には入っており、教師に目をつけられることも無く程々に楽しんでいる。
調理専門学校に特待生として入れないか調べていたところ、栄養士の資格が取れる大学を勧められた。
確かにシェフよりも向いているかもしれないと考えたが、今思えば華海都寮で同じ大学を目指す仲間が欲しい清龍の口実だったかもしれない。
「ガクは大学行かないだろうなあ」
図書室から教室に戻る時に何気なく聞こえた言葉が妙に焼きついている。
一年の頃から岳斗、清龍は仲が良かった。
見た目のインパクトから敬遠されそうな岳斗に話しかけ、大食いやファッションの趣味を引き出し、恋愛相談も受けていた。
そんな二人を食堂で調理しながら見ている、そんな二年間だった。
恋愛には無頓着なので、新入生が入ってきてから寮の空気が変わったのは少しだけ居心地が悪かった。
もちろん新入生に罪はない。
いい子たちだったと思う。
積極的に関わることは無かったけれど、あの事件が起きなければ割と良い三人だった気もする。
「司はさ、ガクとかんなちゃん付き合うと思うか」
柄にもなく尋ねてきた清龍に、おや、と思ったのは七月半ば。
屋上で隠れタバコを吸う親友を見つめる。
「どうだろ。元カノ二人とはタイプ違うんじゃない」
どちらも年下ではあったけど。
清龍は半分聞いてないように空を見上げて煙を吐いていた。
ああ、その横顔だったかもしれない。
予感が生まれたのは。
「清、お前さ。気になってんの?」
柄にもない話題だったから、聞けたのかもしれない。
携帯灰皿にタバコを押し込んで、力無く笑う。
確定じゃないか。
「親友とライバルは地獄だろ」
とっくに地獄じゃないか。
図書室から帰りつつ、自販機で冷たい炭酸を買う。
今日も過去問に体力をごっそり奪われた。
「ぶっちゃけ、受かるのかね。二人とも」
司の言葉に何を今更と思うが、不安から出た本音かもしれないと笑い飛ばすのをやめる。
「落ちんなよ、司」
「それ失言」
「ああ、じゃあ……コケんなよ」
「わざとだろー」
司は坊主頭をわざとらしく両手で抱えた。