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もうLOVEっ!ハニー!
第2章 歓迎と予感
「……ったく。ここにはバカしかいない。奈己だけだ。まともなのは」
「ナミナミが一番異常だと思うけどね、ボクは」
 さっきまでは普通だと言っていたのに。
 美弥のコロコロ変わる意見に首を傾げる。
 カウンターの方にスイーツを取りに行った賢を見送って尚哉が耳打ちをした。
「マジで美弥に困ったら俺に相談しろ。前にもお前みたいに付きまとわれたエリって奴がいたけど本当に大変だったからな」
 美弥には聞こえない声で。
 それから何食わぬ顔でメガネを正し去っていく。
 もったいぶった歩き方が本当に瑠衣そっくりです。
「あいつ、なんて言った?」
 また迫力ある声で尋ねてきた美弥にブンブンと首を振る。
 なんだか不安になる歓迎会です。

 料理が粗方なくなってきた頃、ほろ酔いの鳴海が手をたたいて注目を集めた。
「はーい。恒例の新入生歓迎暴露ゲームやるわよお? ほら、汐里。割り箸カッモーン」
「またかよ……」
 陸が首を抱える。
「なんですか?」
「あ、ああ。かんなは知らないもんな。毎年新入生がくるとやるゲームなんだけど。王様ゲームの要領で全員一本ずつ割り箸を引くんだ。その一つが赤く塗られていて、それを引いた奴がもう一つ、青く塗られた箸を引いた奴の質問になんでも答えなきゃいけない。だから質問によってはヤバイ暴露をしなきゃいけなくなる暴露ゲームってわけ」
 なんでも……ですか。
 鳴海の持った割り箸の束に目が行く。
 何を聞かれても……
 家族を思い出す。
 それから中学時代を。
 怖いゲームですね。
 赤い箸だけには当たりたくないと思いながら生唾を飲み込んだ。
「じゃあ、みんな引いて!」
 合図とともに全員が手を伸ばす。
 隆人や汐里も参加していることに些か驚いた。
 最後まで躊躇していたのは尚哉だ。
 心底嫌嫌箸を引いていた。
 こういう行事を嫌っているのだろう。
 何も塗られていないことにホッとした顔でまた窓際に去っていく。
 もう自分は関係ないというように。
「さあて、みんな引いたかしら?」
 私も先端を隠した箸を持っている。
 見るのが怖いです。
「赤の暴露人はだーれだ?」
 しんと静まり皆が周りを見渡す。
 暴露人を探すように。

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