この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

 かんなは頑なに首を振る。
 それでストールがズレているのも気付かぬように。
「なんにも……ただ、具合が悪くて」
 そっと手を伸ばし、首筋に手の甲を擦り付ける。
 ビクッと跳ね上がったかんなが、手を払い除けてストールでそこを隠した。
 明確な拒絶に空気が凍る。
 かんなもしまったと言わんばかりに狼狽える。
「ご、ごめんなさい……」
「言いたないのはわかる。無理やり聞く気もない。ただ、その態度続けられんはちょっとキツい」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
 責めたい訳じゃないのに。
 味方だって伝えたいだけなのに。
 どうにも崩れぬ壁に無力を感じる。
 そっと、手を握る。
 強ばった小さい手。
「あんな、聞いて欲しいんやけど。俺はかんなが何を隠しとっても、何を裏でしとっても、絶対に味方でおるよ。約束する。絶対傷つけん」
 ポタリと。
 握られた手に涙が落ちる。
 重症やんけ。
 たったこの数日で。
 一体何が……
「あ、りがとうございます……あ、の……私、痴漢にあって、触れられてしまって……それで、ガク先輩にもう触ってもらえる立場じゃ、なくて」
 震える声が心臓を突き刺す。
「は? ほんまに?」
 つい声が低くなってしまったので、急いで抱きしめる。
 あかん、頭熱い。
「……どこで?」
「あの、通帳を、作りに行った日に……隣町で買い物もしようと、電車に乗って……そしたら、夕方のラッシュで、混んでて」
 かんなの顔は見えない。
 見ようとするのも酷だろう。
 ぎゅーっと抱きしめる腕に力が篭もる。
「後ろに立ってた人が、触ってきて……そのまま、抵抗できなくて、次の駅で、連れ出されて……」
 それでも脳内が嘘の気配を探してしまう。
 有り得ん話じゃない。
 矛盾もない。
 この頃の態度に置き換えれば、納得する話。
 でもなんや、このざわめきは。
「だから、先輩に、顔見られたくなくて……体も……生理って嘘ついて、ごめんなさい」
「かんなが謝ることちゃうやろ。駅員さんとか、周りの人は気づいてくれなかったんやね。怖い思いしたな、助けれんくてごめん」
 抱きしめつつも、心が遠い。
 せやったら、なんで今日の電車は平気そうやったん。
 俺が壁になってたからか。
 それにしても、リンクせん。
 どこに綻びがある。
 指摘すべきなんか、それは。

/421ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ