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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を
そうか。
察してるんだ。
同じ階に住むもの同士。
三年間共にいた訳だもんな。
「話してどうにかなることなら、最後まで話し尽くすのが正義だと思うんだけど」
シャツを畳んで籠にしまう。
こちらを向かずに俯いている。
「それで解決しないとなると、君ならどうする」
「葬りますかね」
躊躇無く答えてしまったあとで、司の顔に過激なことを言いすぎたかと後悔する。
「つか何の話してんすか」
誤魔化すように言い捨てて、今度こそ扉を開けた。
「意味わかんねえ」
閉じる隙間から見えた司と目は合わなかった。
今更。
今更なんだよ、宇宿先輩。
だったらちゃんと首輪つけとけよ。
被害者出す前によ。
イライラと階段を登りながら、爪を立てて首を掻く。
なんだよあの質問。
まるで俺に踏みとどませるような。
いきなり……。
……なにかする気か。
宇宿先輩。
だとしたら、今俺がやろうとしてることは、先走ってるのか。
踊り場で立ち止まり、どちらに足を踏み出すべきか悩んでしまう。
上か、下か。
蝉の声が遠くに聞こえる。
時刻は十一時を過ぎようとしている。
太陽は既に天頂に腰掛け、風は静かだ。
どれほど時間が経ったのか。
タオルを肩にかけた司が上ってきた。
立ち尽くした後輩に声をかける。
「あれ、待ち伏せてたの?」
「……そう見えますよね」
どちらも選べず、選択肢が迎えに来た。
「さっきは変な話してごめんね。アイス食べに来ない? 清も誘おうと思ってね」
「じゃ、着替え置いたら降りますよ」
司と並んで体を上に運んでいく。
互いにタオルと汚れた服を脇に抱えて。
ちらりと見ると、意外と彫りが深い。
南国の方の血でも入ってるのか、汐里の淡白な顔つきとは系統が違う。
「ガクたち勝ち上がったかなー」
呑気な声で。
「夕飯は豪華に牛肉食べたいよね」
「管理人なら、気を利かせて買い出してきてくれそうすけどね」
「つばるくんは、バスケ部入らないんだね」
「誘われましたけど……別に」
残り数段のための話題でもない。
各々部屋に向かって足を進める。
横目に峰清龍の部屋の扉を確認する。
心臓がドッド、と鳴っている。
悟られちゃいけない。
今日だけは。
自室に服を投げ捨て、すぐに廊下に戻ると、司と一緒にその扉をノックした。