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もうLOVEっ!ハニー!
第17章 深い底まで証を

 コンコン、と音が耳に届いてから長い夢から目を覚ました。
 既に昼間に差しかかる陽光に、寝すぎた体はあまりに重く、緩慢に起き上がる。
 手の甲で両目を擦り、来客を確認する。
 今日はほとんどが出払ってるはずだが。
「清、寝起きかよー」
「徹夜したんだよ」
 司の呆れた笑いの隣に、早乙女弟を確認する。
「珍しい組み合わせだな。兄の試合見ないのか」
「興味ねえんで。それより先輩、タバコ分けてくださいよ」
「は?」
 片眉を上げると、つばるが首を傾げる。
「別に銘柄なんでもいいんで」
「お前、吸ってたのか」
「中学ん時に。先輩朝とか隠れてヤってるでしょ。臭い消せてないっすよ」
 初めてちゃんと話す割には遠慮のない口調に、いささか怯んでしまう。
 こばるとは違う攻撃的な距離の詰め方。
 司がオイオイと手を振る。
「だめだよ、ガクの飲酒に清のタバコはこの寮の汚点なんだから。引き継がさないで」
「宇宿先輩には頼んでねえすよ」
「可愛くない後輩だな、司」
 でも嫌いじゃない。
 玄関を開けたまま、シャツを着替えて、机からライターとタバコの箱をポケットに入れる。
 忘れそうだった携帯を枕元から拾ってから、二人の待つ廊下に出た。
 いつもより人の少ない寮は、休みの日の校舎のように静かだ。
 階下には他の三年もいるはずだが、どこかにこもっているのだろう。

 食堂について、冷蔵庫に向かう司を見送ってから、並んで座るつばるを眺める。
 目にかかる黒髪は表情を隠し、神経質そうに踵を上げて、小刻みに揺らしている。
 兄の試合を見にも行かず、タバコの要求。
 あれだけの騒ぎを起こしたのも、その性格からなのだろうか。
「お待たせ。つばるくんはスイカジェラート食べてないだろ。清には新作のレモンシャーベット」
 赤と黄色のアイスを両手に。
 目の前に置かれたシャーベットに、スプーンを突き刺す。
 じゃぐり、と水分に満ちた音。
「どうかな」
 カウンターにもたれかかるようにして、司が二人をじっと観察する。
「昼前には軽すぎですね」
「味薄い」
 同時に出たネガティブな言葉にムッとする。
「はいはい、このあとカレー作っとくから」
 文句は言いつつ、数分で完食する。
 一気に食べたせいか少し頭が痛い。
 つばるが腕を組み、覗き込むようにこちらを向いた。
「一服行くでしょ、先輩」
 俺も連れてけ、と。
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