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もうLOVEっ!ハニー!
第2章 歓迎と予感
「かんなちゃんはみんなの妹なんだから抜けがけはお前でも許さねえぞ、美弥」
「先輩に対しての敬意がない奴らだにゃ、本当に」
 払われた手をズボンで拭いながら頬を膨らませる。
「こうやって二年の中にいつもいるから先輩って感じがしないんだよ」
「あ、それ正論にゃん」
「自分で賛同してどうする」
 陸が重そうに腰を上げてやってくる。
 ゆらゆら揺れながら。
 それから私の両肩を掴んだ。
「俺は……絶対にぃ……元カノと重ねてなんか、いないからな。かんな」
「おい。誰だ。陸に酒飲ませたの」
 がくんと床に倒れた陸の肩を美弥が蹴る。
「眠れ、邪魔者」
「美弥先輩、こっわー」
 こばるが陸を担ぎ上げてベッドに寝かせた。
 さっきからカウンターで飲んでいたのだろう。
 足の裏まで赤い。
 弱いんですね、陸さん。
 私は飲んだことのない酒の威力を見た気がした。
 そいえば、父さんもお酒に飲まれる人でしたね。
 いらないことを思い出しました。
「入学式まで二週間あんじゃん。その間どうすんの」
「この街のこと全然知らないので歩き回ってみたいです。あと学園も今のうちに覚えておこうかなって」
「真面目ちゃんだなー。おれらで案内する?」
「マリケンはライブがあるでしょ。かんなのことはボクに任せて」
「任せらんねえから提案してんだろが」
 尚哉の言葉にむっと顔をしかめる。
「とりあえず次の新入生が来るまでに大体のこの周辺は案内するよ。オレと陸で」
「あっ! なに勝手に決めてんの。ボクも一緒に行く」
「受験生だろ、美弥先輩」
 そうだ。
 三年生ということは、もう大学受験を前にしているんだ。
 少し違った見方で美弥を見上げる。
「だってボク学年トップだし」
「奈己にいばりに頭良かったな、そういえば」
「ナミナミに続々記録を塗り替えられてるのが不本意だけどね」
「皆さんすごいんですね」
「いつでも勉強教えてあげるからねっ」
 どうやら勉強の話題を心底憎んでいるような方がお一人。
 賢がヘッドホンを装着する。
「耳栓替わりにするな、マリケン」
「なんでこばるさえも勉強できるのにおれってやつは……」
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