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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

 三年男子は運が良かった。
 三人てのもバランスが良かった。
 三年女子の癖の強さを見れば、頼りになる同性の同期がおらんと耐えきれん。
 二年半、共に過してきた二人。
 そういう存在が、かんなにはおらん。
 半年後には自分も美弥も卒業する。
 その頃までにはなんでも話せる存在が学園内に出来ていて欲しい、と望むのは単純な心配か。
 尚哉とつばるが残る寮への不安か。
「頑張りますね、小学校以来の友達づくり」
 友情のなかった、中学生活。
 暗にそれを後悔するような口ぶりに、そもそもこの話題が良くなかったことを知らされる。
 そりゃそうか。
 俺のダチには清も含まれる。
「文化祭で少しは変わるから安心せえ」
「受験生も何か出したりするんですか」
「今年はどうやろ、準備楽な喫茶とか」
「私のクラスにも遊びに来てください」
「内容による」
「辛口ですね」
「うそ、行く」
 ふふふ、と楽しそうに。
「あ、もう八時なるか」
 まだ話していたいが、そろそろ着替えないと。
 ベッドから降りて互いに身だしなみを整える。
 寝癖の着いた髪をポニーテールにまとめる手つきをなんとなく眺めてしまう。
 かんなもモデルみたいに化粧したら似合いそう。
 オレンジとピンクのシャドウ入れて。
 昨日の撮影時のアンナの髪型を、脳内でかんなに合わせてみる。
「めっちゃええな」
「なにがですか?」
「秘密」
「ええー、気になります」
 テレビを消して、カバーをかけてから部屋を出る。

 自室に戻るかんなの背中を見送ってから、食堂に入ると、既に食べ終えたこばるが振り向いた。
 カウンターには美弥、茜、蘭もいた。
「おっはよ! ガクちゃん! 撮影楽しかった?」
「昨日撮影てマジすか、聞きたい」
「美弥、スピーカーすんな。こばる、マジやけど普通に恥ずいからやめとこ」
 わかりやすく目を輝かせたこばるに頭が痛む。
 絶対これ来る前に美弥が話しただろ。
「芸能人になっちゃったら恋愛どころじゃないわね、ガク。良いのかしら、盛り時なのに」
「えぐいこと言うな、蘭」
「そしたらボクがかっさらうだけだし」
「だめよ。ここはそろそろ別の役者に頑張ってもらうんだから。そうね、隆人とかどう」
「それはボクが鳥肌!」
「おいおいおい、いないもんを弄るな、お嬢さん方」
 汐里が呆れて水を差した。
 美弥も蘭も不満そうに口を噤む。
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