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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して
夕日がオレンジの空に落ちていく。
色は段々とピンクから紫、紺に変わって闇が降りてくる。
清瀧は病室の窓のカーテンの隙間からそれを眺めていた。
タブレットに毎日送られてくる授業の動画を見ては、ノートにシャーペンを走らせる日々。
頭のどこかでは覚悟していた。
このまま脚のリハビリが共通テストに間に合わずに、受験失敗するんじゃないかって。
そうしたら、親に連絡が入らずとも未来が閉ざされる。
カラスのシルエットが飛んでいく。
そんなこと、黙って待ってられるかよ。
オンライン受験できる大学をいくつも調べて、願書も取り寄せた。
司にはまだ話していないけれど、きっともう同じ大学に行くことは叶わない。
大体行けたとして、どうなる。
友情が続くなんて能天気なこと考えられるわけがない。
「ずっと三人変わらないと思ってたから、ガクも清も。卒業まではなんだかんだつるんでさ、食堂で並んでチャーハン食べた時みたいに、並んで卒業するって。でも清は入院して、同じ大学は多分行けない。ガクはオーディション受けてそっちに行くかもでしょ」
「まだわからんて」
思考が落ち着いた司のクリアな口調に、顔が緩む。
つい数分前まで号泣していたとは、赤い目を見なければわからない。
「カオスな女子の方が落ち着いてるよね」
「あいつらどうなるんやろね。蘭は音楽か。茜はなんやろ、普通に専門行って働きそうやな」
「美弥は服飾とか美容じゃない?」
「多分な」
「はは、こういう話、本当はどっかでみんなで集まってさあ、お菓子でもつまみながらやるもんだよね。三年全員参加のイベントが欲しいよ」
ああ、大分戻ってきた。
いつもの司が。
「同期で恋愛沙汰もなく、トラブルもなく、この二年半よく続いてきたよね」
「大きな喧嘩もなく、な」
「タバコと飲酒とサボリ魔はいたけど」
「俺の恋愛沙汰のせいで乱れたか」
「ガクは自虐似合わないって」
「マジの話。俺知らんかったから。美弥に聞くまで。清がかんな好きだったん」
机にもたれかかっていた司が、煙を払うように両手を振った。
「ナシナシ。ガクは勝手に幸せになればいいんだよ」
「失言でした」
「そうでした」
同時に豪快に笑う。
ああ、くだらん。
過去に戻っても同じ選択しただろうに後悔なんて。