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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して
そう言われても、何を話せばいいのかわからない。
「やっぱり寮のイベントとかあるの?」
答えやすい質問を投げてくれたので、こわばっていた顔の筋肉が緩んでくる。
「あ、はい。その、最初にたくさんお話ししたのは春先のバスケで、村山さんが活躍していたあの日ですね。そのあとは寮のサークルでバーベキューをして、夏休み前に色々とトラブルがあった時に助けてもらって……」
「なになに、質問が止まらなくなりそうなんだけど!」
「バーベキュー!?」
「トラブルってどんな」
ググッとテンションの上がった声色に圧倒されてしまう。
「その、最初の質問は、先輩からです」
「やっば」
予鈴が鳴って、強制的に話が中断されると、ほっとしてしまった。
「一旦戻るけど昼休み一緒に食べよう!」
「かんなって呼んでもいい?」
「うちらも呼び捨てでいいから」
自由な言葉の連打にただただ頷いてしまう。
教室の扉に入る直前に隣に並んだ高水が小声で言った。
「さっきは本当ごめんね。私も振られた一人なんだ。あ、入学直後で全然未練ないけどね!」
ジェットコースター。
にこりと席に戻った彼女に一体何を話せばいいのか、誰に聞けば教えてもらえるんでしょう。
あの微かな怒りの理由がわかったことだけは、頭痛を少し和らげてくれました。
放課後ぐったりとベッドに横になっていると、こちらから掛けようか悩んでいた救世主からの内線が鳴り響いた。数分で玄関に現れた大きな胸元にぎゅっと抱きつく。
「え、何。嬉しいんやけど、珍し」
「話したいことがいっぱいあります……」
恋愛について他人に話すという行為はなんて疲れるんでしょう。
ベッドに並んで腰掛けて、息を吸ってからふうっと吐いた。
「どした?」
「友達が、出来ました」
「おお、めっちゃおめでとう」
「岳斗さんのことを、たくさん聞かれました」
「おお……何を?」
わかりやすく眉がぐにゃりと歪んだので、同じ顔をしているであろう自分にも笑いがこみ上げてくる。真面目に向き合っているのも違う気がして、脱力するように寝転がった。壁を背に横向きになり、遅れて向かい合わせで寝転がった岳斗に視線を戻す。
「高水弥生さんってご存知ですか」
「後輩でおったな、割とタッパあって目立っとった」
「その人に付き合っているかを確認されて、色々と質問されて……」
昼休みのやり取りを思い返す。