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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

ーなんでずっと彼女いなかったのー
ー何きっかけで仲良くなったのー
ーなんて呼んでるのー
ー同じ寮だとほぼ同棲じゃんねー
ーどんなデートするのー
 友達という肩書きがあれば、そこまでたやすく踏み込んでいいものなのでしょうか。
 今日話したばかりの彼女らの熱量に胸焼けも蘇ってくる。
「あー……しんどい思いしたな、それは」
 心底申し訳なさそうな声色に首を振る。
「私、本当に慣れてなくて、上手くかわしたりとか出来なくて、ごめんなさい」
「いや、かんなが謝んのおかしいって。あれやろ、大会で俺がはしゃいだせい。そりゃ誰でも気づくわな。引退するからって気にせんどこって思ったけど」
 確かに大会の時には意識もしていなかった。
 それ以外にあまりに大きな問題と直面していて、ただ癒しに縋ってしまっていた。表情が暗くなったのを見て取ったのか、長い睫毛を伏せて、すっと声色が低くなる。
「……嫌なことされた?」
 確かな警戒を含んでいたので、間隙入れずに否定する。
「違うんです。ただ、えっと、質問にはある程度答えたんですけど、本当は何も話したくなくて……だって、高水さんは岳斗さんに」
「思い出した。ほんまにごめん。完全に忘れとった。五月に告ってきたのあいつか。俺に話したくもなるわ……疲れさせてごめん」
 頭の回転が早いんですよ。
 何を言おうとしたのかも霧散してしまって、ただ頷く。
 今すぐ手を繋ぎたくなって、シーツを滑るように近づけた手のひらを、温かく長い指が包み込む。言葉のいらない行動に頭を締め付ける糸が溶けていく。
「三つ、聞いてくれる? 一つ、マジでかんな以外に興味ない」
 もう片方の手で数えるように指を立ててみせる。トン、と自分の鼻に指先を当ててから立てた指を増やす。
「二つ、俺のことはどう言ってくれてもかまへんけど、他人の言うことより俺を信じてほしい」
 すごく、すごく大事なことを言われている。
 全身がその声に集中する。
 だって、こういうことは初めてだから。
 恋人としてのマナーも約束も私は何も知らない。
「三つ、そいつらはまだ友達ちゃう」
「え、でも」
「俺が前話したんは、なんでも話し合える信頼できる奴がいてほしいから。友情ダシにして秘密暴こうとしてくるせこい関係じゃなくて、互いに守り合える関係があればいいなって」
 素直に開いていた心の門から槍が噴き出してくる。
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