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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

 なんでも言ってこい。
 初めてかんなが心の内をさらけ出してくれていることに、昂りを感じている自分に確かに気付きつつも、この会話だけは止めてなるものかと言葉を返す。
「それは、一人で解決できたら良かったですよ。じゃなきゃ、こんな、今の私があるのがつばるのおかげなんて認めたら……違う、つばるは関係ないんです」
「付き合うとったわけないよな」
「えっ」
「つばる」
「はあ? つばるがそう言ったんですか!?」
「命令権譲った時あったやろ。あん時に……」
 中古で良ければって言えるわけないやろ。
 つうか、そんなんどうでもいいくらいに威勢のいいかんなに笑いが込み上がる。
 泣き腫らした後で、そんな声出るんや。意外。
「絶対ないです。あの人は、つばるは、ボス猿でしかない……」
「何それ」
「中学の時に私をいじめていた女子ほとんどは、彼と寝てましたから」
 笑うな。
 笑うな、笑うな。
 無理やわ。
「あっはは、ちょお、一旦止まろ。なんて? おもろ……あいつそんなんしてたん」
 かんなは言い過ぎたとばかりに下唇を噛んでから、ゆっくりと頷いた。
「今だって、人気者ですよ」
「そりゃモテるやろ、ああいうタイプは」
「……もう、なんの話ですか」
 流石に脱線が過ぎて、かんなの口元も綻んでいる。
 似合わない真面目な空気が通り過ぎて、困ったように顔を見合わせる。
「ごめんなさい」
「なんで謝るん?」

 なんででしょう。
 なんででしょうね。
 温かく包み込まれたいつもの空間に、頬が緩んでしまう。
 絶対に知られたくなかったことが、とっくに知られていたのを知って、とてつもない地獄に突き落とされてないとおかしいはずなのに。
 どうして、この人は全部を受け止めてこの態度を保てるんだろう。
 繋いだ手をよじって、指を絡ませる。
 ぎゅっと指先に力を込めて離れぬように。
「俺も一個謝っていい?」
「なんですか」
「こういう時間をもっと早く取れんくてごめん」
「ふふ。なんですか、それ」
「いや、かんなの怒鳴った顔? 初めて見て、思ってたより強い女性やったから」
「くすぐったいですよ。まったく強くないですし」
「んーとね。美弥とか蘭とかの強さじゃなくて、辛いことに向き合わせちゃいけんって避けまくる必要はなかったなって意味で。いや、一ヶ月経ったからかもしれんけど」
 あれからもう、一ヶ月以上経つ。
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