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もうLOVEっ!ハニー!
第21章 眩さから逃げ出して

 一つ一つの記憶の答え合わせをするように、視線を重ねて微笑む。
「まっじで一学期末のテストが立て込んどって、早よ終われよって、今すぐデートに誘わんとって焦ってた。初デートもな。断られたらどないしよって、結構怖かったで」
「嘘ですよ……そんなの」
「疑ったわ。俺が先輩だから、礼儀で付き合っとるんかなって。大会ん時に、確認したくてたまらんくなって……ミサンガくれた時に少しは自信もらったけど」
 不安を取り除くように左耳のリングピアスをいじりながら、んはは、と笑う。
「俺んことばっかし考えて、かんなの状況に寄り添えんかった。ほんまにごめん。けど、少しは伝わった? もう変なこと言わんといて。何回もこんなん言うの向いてない」
 どうしてこの人はいつも私の胸を温かさで満たす方法を知っているんでしょう。
 馬鹿みたいに頷くことしかできず、溢れてきた涙に顔をしかめてしまう。
「ああ、もちろん顔も体も好き」
「あははっ、やめてください」
「じゃあ、次はかんなの番か」
「えっ」
「俺のどこが好き?」
 夕暮れの光を背に、なんて綺麗な笑顔。
 これ以上不安にさせたくない。
 返事は考えるよりも口に任せてしまうことにしましょう。
「いつも私を魔法のように元気にしてくれるとこが好きです。素敵な笑顔と、落ち着く声に、たくさん助けられました。あと、とにかく優しいところ。それから」
「電気つけよか。顔見たい」
 中断されて、カッと顔が熱くなる。
 確かに互いの顔が夕日の薄明かりで見えづらくなってきたのは気づいてました。
 でも、だからこそ伝えたことのないことが言えるのに。
 さっとベッドから降りて電気のスイッチを無情につけられてしまう。
 振り向いた岳斗が、壁にもたれて腕を組んだ。
「こんだけ離れときゃ、言いやすいんちゃう?」
「だから……なんでわかるんですか」
「んな顔赤くされたら照れるて」
 ずっと羽毛が首筋を駆け回っているようなくすぐったい時間に笑い合う。
「それからー?」
「それから……」
 寮の全員をよく見て、気にかけているところ。
 後輩思いで、問題に対しても誰より率先して動くところ。
 運動だけじゃなくて、勉強にもまっすぐ熱を込めて、集中力があるところ。
 いつも長い足を私の歩幅に合わせてくれるところ。
 チャイムを鳴らして私が扉を開けてから、部屋に入っていいか確認するところ。
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