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もうLOVEっ!ハニー!
第22章 三角の終焉

 この春に最悪な家から飛び出して華海都寮に来た。
 そこから半年後に更に新生活に飛び込むなんて、まだ思考が追いつきません。
「四月になったら新入生も一気に入るし、そん時、復帰したらスムーズやろ。ほんまは二年に上がっても一緒に住めりゃええけど、かんなの通学に負担かけるし」
「あ、通学……」
「徒歩三分は無理でも、徒歩圏内で探すわ」
 朝弱い自分に可能だろうかと過りつつも、そんなことは枷にならないとも思う。
「理由は、なんにしましょう」
「理由は要らん。外泊許可を三か月申請する」
「隆人さんが黙って受理しますか」
「三日以上学校休まなけりゃ何日外泊しても自由、らしい」
「卒業まで戻らないなら、退寮扱いになりませんか」
「問題あるか?」
 ない、んですか。
 貴方は自分のことになると思い切りが良すぎるのです。
 あの部屋に何の未練もない言い切りに、場所にこだわる人ではないのだと知らされる。
「こばるさんが泣いちゃいますね」
「学園で会うしな」
「三か月……」
「もちろんこれは俺の案でしかないから。ただアパートはいくつか探しとくし、ルカと扱い違うからって理由で先に話は進めとく。明日死ぬ気で仕事取らんとな」
 案を聞くまで、それは絵空事でしかなかった。
 最悪のトラウマを引き連れた存在が戻ってくるカウントダウンを、避けられぬ運命と受け入れてただ為すがままに過ごすのだと。
 毎晩どちらかの部屋に泊まったところで、そもそも同じ屋根の下にいるというだけで心身ともに堪え切れるかもわからない。
 だからこそ、この案は魅力的すぎます。
 残ったおにぎりを握りなおすように両手で包む。
 また三角に戻しても、それは小さく歪になる。
「どうして、そこまで……」
 だってあまりに私にのみ都合がいいから。
 寮の太陽のようなみんなの中心の岳斗さんが、何故そんなことをって。
 床にへばりついていた視線を、そっと頬に添えられた手が拾い上げる。
「俺も耐えれんから」
 低く、低く、かすれた声。
 見つめあった四つの目がどれも熱で潤う。
「正直、俺は向き合わんとダメやけど。なんっかいもイメトレした。玄関で、廊下で、食堂で……戻ってきたあいつになんて声かけよかって」
 奥歯を噛み締めながら絞り出すような声に、視線が外せない。

「なんっかいイメージしても……殺したなる」
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