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もうLOVEっ!ハニー!
第22章 三角の終焉

ウルフヘアの端正な顔立ち、一七五センチほどの細身で、トップバッターだったから凝視して観察したのを思い出す。
けど、あれ……ちゃうよな。
確か競合相手って……。
「なんで六番じゃないのって顔に出てるわよ」
シートベルトを締めながら思案していたのを見透かされ、小脇の言葉に頷いて良いものかを考えて止まってしまう。
「そこは色々裏であんのよ。あの子は別の雑誌も受けてた。だから第三候補の湊君がキミのパートナーに選ばれた。それだけ」
淡々と言うが、隣の男には残酷な事実ではないかと視線を移すと、意外にも飄々とした笑顔で答える。
「やだなあ、手厳しい。運がいいのも実力の内ですよね」
「いーじゃない。生意気は可愛がられるわよ」
景気よく右車線でスイスイ進みながら、小脇は鏡越しにこちらを確認する。
「いーい? 君らは今日で大親友よ。恋人でもいいわ。しっかり親睦深めなさい」
「冗談、ちゃうんすよね」
「もっちろん! ルカとアンナを見たでしょ。あれはもう禁断の花園よ。どうしてそんな空気を出せるかって考えてもみなさいよ。初めましての他人がよそよそしく隣にポーズして絵になるもんか。誰にも見せれないナルシストなエゴをぶつけ合うのよ」
ああ、これは授業やな。
嚙み砕いた言葉に小脇の面倒見良さが滲み出る。
今日の撮影に向けての心構えを車内で身に着けさせようとしている。
右腕に何か絡まる感触がして払いのけようとしたが、湊の肌白い手に優しくつかまれているのだと認識して硬直した。
猫が甘えるような目つきに変わった隣人に、背筋に冷たいものが走る。
「バスケやってたんだよね。やっぱスポーツには適わないな」
「あ、ああ。そっちはなんも?」
「うん。筋トレだけ。日焼けしたくないし、帰宅部だよ」
「どっか所属しとんの?」
「去年末からね。チラシとか、通販でちらほら出してもらったくらい」
経験者か。
だからこの馴れ馴れしさなんか。
「耳、触ってもいい?」
「は?」
恋人を言葉通りに受け取っているのかと警戒アラートが鳴るが、湊は気にせず続ける。
「ピアス、よくそんなに開けたね」
承諾前に伸びてきた指にようやく思惑に気づき、ふっと脱力して笑った。耳たぶを撫でた指を掴んで、口元に引き寄せる。
やっと眉を歪ませたな。
「お前、性格わっるいのな」
「ああ、ばれた?」
小脇の笑いが響いた。

