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もうLOVEっ!ハニー!
第5章 悪戯ごっこ
紅茶を淹れて机を挟んで向かい合って座る。
湯気がゆらゆらと漂う。
「それで、話って」
岳斗は重々しい動作で紅茶を一口含み飲み下して息を吐いた。
「かんなちゃんって……」
「はい」
コトンとカップが置かれる。
綺麗な長い指から離れて。
それをじっと眺めていた私にまるで見当外れの場所からの言葉が送られる。
「バスケ好き?」
「……はい?」
岳斗はギシと椅子に身を預けてふっと笑んだ。
「俺とこばるはバスケ部に入っとるんやけど、春になると入学式の午後に新入生チームと対抗戦があんねや」
「そう、なんですね」
話の流れが読めずに曖昧な受け答えをしてしまう。
「新入生相手とはいえこの学園のルールには逆らえんくてな。そのバスケでは敗者は勝者の命令をなんでも聞かなならんの。ちなみにチームメイト一人につき一つ。ただし従わせるのは相手の一人にだけ」
「こ、怖い試合ですね」
「せや。怖い試合なんや」
そこでくっと口の端を持ち上げた岳斗が身を乗り出した。
反射的に私は身を引いてしまう。
しかし目だけは岳斗の綺麗な瞳にくぎ付けだった。
お稲荷様の化身がもし目の前に現れたら、その眼だけで殺されてしまうのでしょう。
根拠もなくそう思わされてしまった。
「ここの寮生は強制参加っつー裏規則もあってな」
「ええっ!」
困る。
私はバスケが、球技が大の苦手なのです。
他人がぶん投げてくるボールをキャッチなんて神業です。
「あ。安心しい。男子だけやから」
「ああ……よかったです」
「女子は女子でバレーだったか」
「ええっ」
「そのへんは美弥あたりに薫ちゃんと一緒に確認しい」
「……はい」
ずうんと肩が重くなった気がします。
明日のお茶会を乗り越えた先の入学式にそんなことがあるなんて。
あ、だから持ち物にジャージってあったんですね。
美弥さんたちももっと早くこのこと教えてくれればいいのに。
けれどここ数日自分のことで精一杯でろくに話もできなかった自分が悪いのだと思い当たり、さらに肩が地に下がる。
二口目を飲んだ岳斗が口を開く。
「俺が勝ったらかんなちゃんにその命令権を譲ろう思っててな」
「へあ?」
変な声がでてしまいました。
ばっと口を手で覆う。
湯気がゆらゆらと漂う。
「それで、話って」
岳斗は重々しい動作で紅茶を一口含み飲み下して息を吐いた。
「かんなちゃんって……」
「はい」
コトンとカップが置かれる。
綺麗な長い指から離れて。
それをじっと眺めていた私にまるで見当外れの場所からの言葉が送られる。
「バスケ好き?」
「……はい?」
岳斗はギシと椅子に身を預けてふっと笑んだ。
「俺とこばるはバスケ部に入っとるんやけど、春になると入学式の午後に新入生チームと対抗戦があんねや」
「そう、なんですね」
話の流れが読めずに曖昧な受け答えをしてしまう。
「新入生相手とはいえこの学園のルールには逆らえんくてな。そのバスケでは敗者は勝者の命令をなんでも聞かなならんの。ちなみにチームメイト一人につき一つ。ただし従わせるのは相手の一人にだけ」
「こ、怖い試合ですね」
「せや。怖い試合なんや」
そこでくっと口の端を持ち上げた岳斗が身を乗り出した。
反射的に私は身を引いてしまう。
しかし目だけは岳斗の綺麗な瞳にくぎ付けだった。
お稲荷様の化身がもし目の前に現れたら、その眼だけで殺されてしまうのでしょう。
根拠もなくそう思わされてしまった。
「ここの寮生は強制参加っつー裏規則もあってな」
「ええっ!」
困る。
私はバスケが、球技が大の苦手なのです。
他人がぶん投げてくるボールをキャッチなんて神業です。
「あ。安心しい。男子だけやから」
「ああ……よかったです」
「女子は女子でバレーだったか」
「ええっ」
「そのへんは美弥あたりに薫ちゃんと一緒に確認しい」
「……はい」
ずうんと肩が重くなった気がします。
明日のお茶会を乗り越えた先の入学式にそんなことがあるなんて。
あ、だから持ち物にジャージってあったんですね。
美弥さんたちももっと早くこのこと教えてくれればいいのに。
けれどここ数日自分のことで精一杯でろくに話もできなかった自分が悪いのだと思い当たり、さらに肩が地に下がる。
二口目を飲んだ岳斗が口を開く。
「俺が勝ったらかんなちゃんにその命令権を譲ろう思っててな」
「へあ?」
変な声がでてしまいました。
ばっと口を手で覆う。