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わたしの心が消えるとき
第5章 それぞれの夜
渚は
「おばあちゃん、誰から?」
「間違い電話ですよ…」

モヤモヤは、ますます広がった。

食事を済ませると、渚は
「ちょっと、出かけてくる」
席を立った。
祖母が呼び止める。
「渚ちゃん。それ、飲んでくださいね」
テーブルの上にある、渚専用のピンク色のジュースの事だ。

身体の弱い渚のために、亡き母が調合していたと聞いている。渚には、そんな記憶はないが…
今は祖母が、それを引き継ぎ、必ず毎日飲まされる。
「今日は、いらない」
「…お母様が悲しみます…」
意地を張るのも面倒になって、コップを取ると、一気飲みした。
甘いだけで、おいしくない。

渚は自分の部屋に上がると、服を着替えて化粧をした。
そして夜の街に出て行った。
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