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わたしの心が消えるとき
第2章 人形になる少女
母は娘の顔を覗き込んで
「いい?今日はちゃんとやるのよ。言われた通りにすればいいんだから。できるよね?」
「は、はい…ママ…」

先週は耐えられずに泣き出してしまったのだ。
失敗した。
私が、お人形に成りきってなかったから。

母は少女を残して倉庫を出た。
外で誰かと話している。
窓から差し込む日光が、宙を舞う埃を照らす。

やがて、眼鏡をかけた疲れた感じのオジサンが、汗を拭きながら、ひとり入ってきた。
三脚の付いた大きなカメラを抱えて…

オジサンは猫撫で声で
「本当に可愛いね。素敵だよ」
少女は体を強張らせ、小さな手を握りしめる。
「じゃあ早速始めようか。服、脱いで」

私は…お人形。
恥ずかしくない。恥ずかしくない。恥ずかしくない…
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