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わたしの心が消えるとき
第6章 偽りの恋
包丁を構えて走ってくる。ほのかには、その動きがスローモーションのように思えた。
彼女は身動きもせず、落ち着いて、ゆっくり目を閉じる…

次の瞬間、ほのかの体は突き飛ばされた。
誰かが悲鳴を上げた。
何が起きたのか…

母親は、血の付いた包丁を握りしめて、座り込んでいた。
全身が震えている。

ほのかの横で、祥が倒れていた。
脇腹を押さえ、血が流れ出している。
ほのかを見ると、引きつった笑みを浮かべて
「ほのかちゃん…大丈夫?…くそぉ…痛えなぁ…」
そして動かなくなった。

ほのかは祥に抱きついて
「祥さん!!やだ!!祥さん!!」

通行人の悲鳴を聞いて、人が集まってきた。
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