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わたしの心が消えるとき
第7章 迷いの海、夏休みの終わり
「清川渚です」
渚は玄関先で挨拶した。

髪を染め化粧までしている女子中学生に、真由の父親は少なからず驚いていた。

沢田家の居間は和室だった。
座卓についた三人に、真由は麦茶を運んできた。

渚の横に座った。
向かいには父親と貴志。

「渚、ありがとう」
真由は渚の手を握った。
渚も握り返す。

渚は貴志を見た。
ごく普通の、おとなしそうな少年だ。
真由より背も低い。
ずっと、うつむいている。

真由は渚の手を離さずに
「貴志には話したけど、ボク、赤ちゃんができた」
真っすぐ父の顔を見て堂々と話す真由を、渚は見守っていた。
父親は予想していたのか、あまり驚きもせず
「そうか…貴志、お前は何て罪な事を…」
真由は
「貴志じゃないかも…」

さすがに驚いて、父親は目を見張った。
貴志も顔を上げ、姉を見つめた。
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