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わたしの心が消えるとき
第4章 捨てられた制服
渚の暮らす町は、海辺の地方都市。
人口約40万。
駅前を中心とした繁華街は、それなりに賑わっている。
しかし、市街地から出ると南には港、北には山林が広がる。
山のふもとに温泉街もあるが、これといった産業もなく、名物は海産物。

渚は、この町が好きではない。
なんだか中途半端な感じだ。
何でも揃っている大都市か、逆に何もない田舎町の方が良い。

学校は郊外にある『清華女学院中等部』
私立の、いわゆる『お嬢様学校』で、授業料も高額である。

当然、資産家の子供が多いが、中にはそうでもない家庭の生徒もいる。
親の見栄で、身分不相応な背伸びをして入学させたケースも少なくない。
それが、学院内に微妙な歪みを生む事もある。

渚には、友達がいない。
欲しいとも思わない。

彼女の両親は、中学生になる前に亡くなった。
今は、母方の祖母と暮らしている。

祖母は、働いていない。
特に資産もない。
親の遺産もない。
しかし、なぜか家には多額のお金がある。
理由はわからない。

渚にとっては、どうでもいい事だ。
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