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わたしの心が消えるとき
第8章 最後の野獣
ベッドに近付いた。

老人は動物の唸り声のようなイビキをかいている。
その腕は渚を抱いていた。
怪物に捕らえられた生贄だ…

ゆっくりと、太い腕を持ち上げる。

お願い、神様!
まだこいつを起こさないで!

渚の体を引っ張り出す。

美しい裸体は、悪臭を放つ精液にまみれていた。
改めて、この怪物に対する怒りがこみあげる。

真由は渾身の力で、ぐったりした体を背負う。
ほのかが後ろから、渚のお尻を支えた。

慎重にベッドから降りた。
振り返ると老人はまだ目覚めていない。

ひとつしかないドアから出ると、薄暗い廊下だった。
まるで地下道のような雰囲気だ。
案外本当に、ここは地下かもしれない。窓がないのは、そのせいか。

50メートル程先の突き当たりに、鉄の扉があった。しかし、鍵がかけられている。

「きっとここが出口だね…」
「うん…。鍵、探そう…」
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