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わたしの心が消えるとき
第9章 闇の向こう
女は半身を起こすと、男の肉棒に手を伸ばした。
愛おしそうに擦る。
薄目を開けた恍惚の表情で、ゆっくり口に含んだ。
かなり太いそれを精一杯頬張り、男の最も敏感な部分を丁寧に舌で愛撫する。
その奉仕から溢れる愛情が、男の快感を増幅させた。

男は女に覆い被さる。
「真由…愛してる…」
「私も…隆司…」

体を重ねる度に、まるで儀式のように何度も繰り返してきた、ありきたりな台詞だ。
しかし決して色褪せないのは、それが本心から自然に出る言葉だからだ。


真由の妊娠を知り、彼女の決心を理解した隆司は、産まれてくる子供の父親になる事を申し出た。

真由は驚き、言葉が出なかった。
彼女の父親は、気持ちは嬉しいが無理しないで欲しいと言った。

無理はしていない。同情でもない。
隆司は真由を純粋に女性として愛したからだ。
外見はもとより、その内面に強く惹かれたのだ。
まだ体に触れてさえいない女に、これ程強い想いを寄せるのは、彼自信、信じられない事だ。
それは、初めて出会った真実の愛だった
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